
リラゴ-ちゃん
サワディーカー! (こんにちは)
タイ生まれタイ育ちのリラゴーちゃんです。
タイの大学と現場で20年以上タイ伝統医学の知識と経験を磨き、今は日本人の旦那さんと結婚して東京に住みタイ古式のリラクゼーションサロンでタイ古式を広めています。
この記事では、私が現地で学んだ知識も交えながら、タイ古式マッサージの本当の魅力をお伝えしますね!
「なんとなく聞いたことはあるけど、普通のマッサージと何が違うの?」「痛そう…」
もしかしたらそんなイメージをお持ちかもしれません。
実はタイ古式マッサージは指圧・ストレッチ・整体を融合させた独自のアプローチから「世界一気持ちいいマッサージ」とも称され、日本でも年々ファンが増えているんです!

リラゴ-ちゃん
実はタイ古式マッサージ(タイ語で「ヌアッド・タイ」)は、仏教医学をルーツに持つタイの伝統医療体系の一部です。
2019年にはユネスコ無形文化遺産に正式登録され、「科学・芸術・文化を兼ね備えたヘルスケア」として世界から認められているんですよ。
- タイ古式マッサージが「ただのマッサージ」ではなく「ユネスコ無形文化遺産」になった理由
- ブッダの主治医から始まった2,500年の物語——禁止と復活のドラマチックな歴史
- ワットポー寺院に2つのユネスコ認定が存在するという、ほとんど知られていない事実
- 「宮廷式」と「民間式」という本当の流派の分類と、サロン選びへの活かし方
- 研究でわかっていること・まだわかっていないこと——誠実なエビデンスの読み方
- 初めてでも安心して受けるための具体的なステップと注意点

リラゴ-ちゃん
読み終えたころには、「タイ古式マッサージって実はね……」と友人や同僚にちょっと自慢げに語れるだけの知識が身についているはずです。
タイ古式マッサージの歴史 — 伝承と記録でたどる伝統医療の物語
タイ古式マッサージを深く知るために、まずはその歴史をたどってみましょう。
タイ古式マッサージは単なるリラクゼーション技術として生まれたものではありません。
仏教医学を母体とする「伝統医療」として、長い時間をかけて受け継がれてきました。
まず、ひとつ知っておいていただきたいことがあります。
タイ古式マッサージの歴史を語るとき、「2,500年の伝統」という表現がよく使われますが、これは施術者の間で代々語り継がれてきた「伝承としての歴史」です。
現存するタイ医学の文献で最も古いものは17世紀のナラーイ王時代の薬方書(1661年編纂)とされており、文書として確認できる記録はそこからになります。

リラゴ-ちゃん
つまりタイの施術者はみんな「2,500年」と誇りを持って言うけれど、学問的に見るとちょっと違うんです。
伝承と記録をきちんと分けて説明しているサイトは日本語ではほとんどないので、ここはぜひ覚えて帰ってくださいね!「伝承」と「記録」の両面から、タイ古式マッサージの物語を紐解いていきましょう♪
創始者シヴァカ・ゴーマラバット — 仏典に名を残す伝説の医師
タイ古式マッサージの創始者として敬われているのが、シヴァカ・ゴーマラバット(パーリ語名:ジーヴァカ・コーマーラバッチャ)師です。

シヴァカ師は仏教経典の中で、ブッダ(釈迦)の主治医として登場する人物で、インドの伝統医学アーユルヴェーダの知識を基盤に薬草療法やマッサージ技術を体系化したと伝えられています。

仏教学の研究ではシヴァカ師は仏典上の重要な人物として認知されていますが、伝記的な記述には伝説的・聖人伝的な要素が多分に含まれることも指摘されています。
つまり、このシヴァカ師という人は歴史上、実在が確定しているというよりは、タイ伝統医学の精神的な源流として尊敬され続けている存在です。
現在でもタイ古式マッサージの施術者は、施術前に胸の前で手を合わせ、シヴァカ師への祈りを捧げる「ワーイ」という儀式を行います。(タイ人がよくやるポーズ)
これは、仏教の慈悲(メッター)の精神に根ざした行為であることを意味しています。


リラゴ-ちゃん
私もタイの学校で施術を学んだとき、毎朝シヴァカ師への祈りから始まりました。
「これから施術する相手を思いやる気持ちを忘れないように」という教えが込められているんです(●^o^●)
技術だけじゃなくて、心のあり方も学ぶのがタイ式です。
寺院が診療所だった時代 — 村の暮らしに根付いた相互扶助がはじまり
タイでは古くから「ワット」と呼ばれる寺院が、地域の診療所としての役割を果たしてきました。
体調が悪くなったら寺院に行き、僧侶や施術者からマッサージを受ける。これがタイの人々にとってごく当たり前の習慣だったのです。
ユネスコの登録決定文でも、タイ古式マッサージはもともと農村社会の日常的なセルフケアや地域の治療師による施術から発展したものと説明されています。
農作業で疲れた村人同士がマッサージを施し合う——そこには「メッター(慈悲)」の精神に基づく相互扶助がありました。タイ古式マッサージは治療行為であると同時に、人と人との思いやりをつなぐ社会的な絆でもあったのです。
アユタヤ朝の時代(14〜18世紀)には、宮廷でも医療の一環としてマッサージが行われるようになり、宮廷マッサージ師は比較的高い地位を与えられていました。
当時の文献「ナラーイ王の薬方」(1661年編纂)にもマッサージを含む治療法が記録されており、これが現在確認できるタイ医学関連の最古級の文献のひとつとされています。

ワットポー 1,431枚の石碑に刻まれた知恵のアーカイブ
タイ古式マッサージの歴史を語るうえで欠かせないのが、バンコクの名刹ワットポー(涅槃寺)です。
1831年から1841年にかけて、タイ国王ラマ3世の命により、タイの伝統的な知識体系が境内に石碑として記録されました。
ここで、ほとんどの日本語サイトが触れていない重要な事実をお伝えします。ワットポーには、ユネスコが認めた2つの遺産が共存しています。
ひとつは、ヌアッド・タイという「生きた実践」としての無形文化遺産(2019年登録)。
もうひとつは、その知識を物理的に記録した石碑群「ワットポーの碑文アーカイブ」としてのユネスコ「世界の記憶(Memory of the World)」(2011年登録)です。
「世界の記憶」に登録された石碑は全1,431枚。一般市民の学習のために公開された、アジア各地からの知恵を集約した知識アーカイブです。このうち約半数が医学およびマッサージ(タイ式ヨガを含む)に関する内容とされ、王室付き医師たちが編纂しました。
マッサージ関連では、人体を流れる「セン」と呼ばれるエネルギーラインの図解が前面・背面あわせて60枚の線刻画として残されているほか、

ルーシーダットン(仙人体操)の像も保存されています。
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実は「ワットポーにユネスコ認定が2つある」って、タイ人でも知らない人が結構いるんです(笑)。お友達にこのネタを話したら「へぇ〜!」って言われること間違いなしですよ!
禁止と復活 — 近代化の波に消え、世界の潮流で蘇った伝統
長い歴史を持つタイ古式マッサージですが、20世紀初頭には存続の危機を迎えました。西洋近代医学の導入を推進するなかで、タイの伝統医療は段階的に制度から排除されていったのです。
この「排除」は一度の出来事ではなく、3つのステップで進行しました。
第1段階(1913年):タイ伝統医学の廃止と伝統医療従事者の治療行為を禁じる法律が制定される。
第2段階(1915年):西洋医学の病院から伝統医療が制度的に排除される。
第3段階(1936年):治療術管理法により、伝統医療は「科学的根拠を欠く」と位置づけらる。
法制度・医療機関・社会的評価の3面から周縁化された結果、タイ古式マッサージは約70年にわたって表舞台から姿を消すことになりました。
転機となったのは1970年代後半です。1977年のWHO(世界保健機関)会合でハーブ療法や民間の知恵の活用が推奨され、翌1978年の「アルマ・アタ宣言」で伝統的治療者の力を活用する方針が示されました。
この国際的潮流を受けてタイでも伝統医療復興運動が本格化し、1980年代に「タイ・マッサージ復興プロジェクト」が始動。タイ古式マッサージは公的な医療体系の一部として復活を遂げたのです。
現在、タイでは「タイ伝統医療専門職法(2013年)」に基づき、タイ伝統医療評議会がライセンス制度、カリキュラム基準、倫理監督を管轄しています。健康増進向けの150時間コースから、800時間に及ぶ臨床的な上級課程まで、段階的な教育体系が整備されています。

リラゴ-ちゃん
「一度禁止されて70年も消えていた」って、けっこう衝撃的じゃないですか?
でもそこから世界が認める無形文化遺産にまで復活したのが、タイ古式マッサージのすごいところ。タイ人として本当に誇らしいです。
なぜユネスコ無形文化遺産に登録されたのか
タイ古式マッサージの歴史を語るうえで、2019年の出来事は欠かせません。
この年、「ヌアッド・タイ(伝統的タイマッサージ)」がユネスコ無形文化遺産に正式登録されました。
あなたは「マッサージが世界遺産?」と驚かれるかもしれませんが、そこには深い理由があります。
「身体・エネルギー・構造のバランスを整える手技療法」という定義
ユネスコの登録決定文では、ヌアッド・タイは「身体、エネルギー、構造のバランスを取り戻すことを目的とした非薬物的な手技療法」と定義されています。
タイ伝統医学の理論では、セン(エネルギーライン)の流れの滞りや、体を構成する4つの元素(土・水・風・火)のバランスの乱れが不調の原因と考えられており、施術はこれらを整えることを目指します。
技術面についても具体的な記述があり、施術者は手だけでなく肘・膝・足も使い、さらにハーブ温湿布を組み合わせる場合があると説明されています。
ユネスコが高く評価したのは、単なる技術の精巧さではありません。施術者と受け手の間に深い信頼関係を築く文化的要素を持ち、コミュニティに根ざした伝統医療であるという点——つまり、「技術」と「理論」と「社会的実践(地域の中での相互ケア)」が三位一体となっている点が、「科学、芸術、文化の一部としてのヘルスケア」という評価につながりました。
和食や歌舞伎と並ぶ「体験できる生きた遺産」
日本人にとって身近な無形文化遺産といえば、和食や歌舞伎、和紙などがありますよね。ヌアッド・タイ(タイ古式マッサージ)もこれらと同列に、人類の財産として保護すべき伝統文化に位置づけられました。
しかも、博物館の展示物とは違い、タイ古式マッサージは日本国内のサロンで実際に「体験」できる生きた遺産です。
伝承上はシヴァカ師の時代にまで遡り、記録としては17世紀以降のタイ医学文献に裏打ちされ、19世紀にワットポーで体系化された知恵が、今もセラピストの手を通じてあなたの体に届く——こう考えると、一度の施術がもつ意味合いもぐっと深まるのではないでしょうか。

リラゴ-ちゃん
和食を食べることもユネスコ無形文化遺産の「体験」だけど、タイ古式マッサージを受けることもまったく同じなんです。しかも自分の身体で直接感じられる。これって、考えてみたらすごく贅沢な体験ですよね!
他のマッサージと何が違う? タイ古式マッサージ5つの特徴
世の中にはさまざまなマッサージがありますが、タイ古式マッサージには明確な独自性があります。ここでは、他の施術と比較しながら5つの特徴を解説します。
特徴① 足裏から始まる全身施術
タイ古式マッサージの大きな特徴は、施術が足裏からスタートすることです。なぜ足からなのか?
その理由は一つではありません。タイの伝統的な身体観では足は体の土台として重視されており、施術者の間では「足は体重を支え続けるため疲労が蓄積しやすい」「末端から中心に向けて巡りを促す」といった複数の説明が伝えられています。
肩こりや首の重さが気になる場合でも、まず足からじっくり時間をかけるのがタイ古式流。足だけで30〜40分ほどかけ、そこから腰、背中、肩、頭へと上半身に進みます。「局所を揉む」のではなく、「全身をひとつのシステムとして整える」という東洋医学的な考え方が根底にあるのです。
特徴② 「セン」というエネルギーラインへのアプローチ
タイ古式マッサージでは、体内に「セン」と呼ばれるエネルギーライン(生命エネルギーの通り道)が10本あると考えられています。日本人にとってなじみのある「ツボ」が点であるのに対し、センは体中に張り巡らされた線:いわば「エネルギーの流れる道路」のようなイメージです。
ユネスコの登録文書でも、タイ伝統医学ではセンの流れの滞りが不調の原因と考えられていると説明されています。施術者はこのセンに沿って指圧やストレッチを行い、エネルギーの流れを整えていきます。ワットポーには60枚のセン線刻画(前面30枚・背面30枚の対)が保存されており、ここが視覚的な知識伝承の原点です。

リラゴ-ちゃん
「ツボは点、センは線」これ、友達に説明するときにすごく便利なフレーズですよ! タイではよく「センの流れが詰まると調子が悪くなる」と言われます。水道管をイメージすると近いかもしれませんね。
特徴③ 指圧×ストレッチ×整体の融合 — 「二人で行うヨガ」の由来
タイ古式マッサージが「二人で行うヨガ」や「怠け者のヨガ」と呼ばれるのをご存じですか? これは、施術者が受け手の体を支えながらさまざまなポーズを取り、ストレッチを行うスタイルに由来しています。
ユネスコの登録文書にも明記されているとおり、施術者は手だけでなく肘・膝・足も使い、指圧で筋肉のこわばりをほぐし、ストレッチで可動域を広げ、整体的な手法で体のバランスを整えます。
この3つの要素を一度の施術のなかで融合させるのは、タイ古式マッサージならではの特徴です。90分のコースでは約50種類ものポーズを取ることもあると言われています。
特徴④ 施術者と受け手の呼吸が調和する独特のリズム
タイ古式マッサージのもうひとつの大きな特徴は、施術中のリズムです。施術者は受け手の呼吸に意識を合わせ、ゆっくりとした一定のテンポで圧をかけていきます。
この深呼吸に似たリズムのなかで施術を受けていると、意識がうつらうつらとする「半眠半覚」の状態に導かれることがあります。受け手だけでなく施術者自身も瞑想に近い精神状態になるとされ、双方にとってリラクゼーションの深い時間になるのが特徴です。

リラゴ-ちゃん
タイ古式マッサージの学校では「相手の呼吸を感じなさい。息を吐くタイミングで圧をかけなさい」と何度も教わります。この呼吸の同調があるから、強い圧でも不思議と痛くなく感じるんですよ。
特徴⑤ 着衣のまま・マットの上で受けるスタイル
オイルマッサージやアロマトリートメントでは肌を露出する必要がありますが、タイ古式マッサージは着衣のまま受けるのが基本です。多くのサロンでは、ストレッチの妨げにならないゆったりとした施術着が用意されています。
施術はベッドではなくマットの上で行われ、施術者は全身を使ってアプローチします。ベッド上の施術では難しいダイナミックなストレッチや体位変換ができるのも、マットスタイルならではのメリットです。
【参考】施術スタイル比較表
| タイ古式マッサージ | 整体 | オイルマッサージ | リフレクソロジー | |
|---|---|---|---|---|
| 施術範囲 | 全身(頭〜足先) | 主に骨格・関節周辺 | 全身(背面中心) | 足裏・ふくらはぎ |
| 服装 | 着衣(施術着) | 着衣 | 肌を露出 | 膝下を露出 |
| 施術場所 | マット | ベッドまたは椅子 | ベッド | リクライニングチェア |
| ストレッチ | 多い(全身) | 部位ごとに実施 | 少ない | なし |
| オイル使用 | なし(基本) | なし | あり | クリーム使用が多い |
| 代表的な時間 | 90〜120分 | 30〜60分 | 60〜90分 | 30〜60分 |
タイ古式マッサージで得られる体験と変化
「実際にどんな感覚なの?」
これが初めてタイ古式マッサージに興味を持った方が最も知りたいことではないでしょうか。ここでは、多くの方が施術後に語る「体験」をご紹介するとともに、研究でどこまでわかっているのかも整理します。
深いリラクゼーション — 「半眠半覚」の心地よさ
タイ古式マッサージを受けた方がまず口にするのは、「気持ちよすぎて眠ってしまった」という感想です。ゆったりとしたリズムで全身をほぐされるうちに、意識がとろとろと溶けていくような「半眠半覚」の状態になる方が非常に多いのだとか。
この状態のとき、脳内ではリラックス時に多く観測されるアルファ波が出やすくなると言われています。日常の緊張やストレスから一時的に解放され、心の底からほっとする、、そんな深い安らぎの時間を体験できるのが、タイ古式マッサージの大きな魅力です。
ストレッチ後の身体の軽さと可動域の広がり
施術後に多くの方が驚くのは、「身体が軽い」「腕や脚が大きく動くようになった」という感覚です。一人では伸ばしにくい深層の筋肉まで、セラピストの全身を使ったストレッチで丁寧に伸ばすため、終わったあとの開放感はほかのマッサージではなかなか味わえないもの。
デスクワークなどで同じ姿勢が続き、肩や腰まわりが固まっていると感じている方にとって、このストレッチの気持ちよさは格別です。

リラゴ-ちゃん
タイ古式マッサージの学校では「相手の呼吸を感じなさい。息を吐くタイミングで圧をかけなさい」と何度も教わります。この呼吸の同調があるから、強い圧でも不思議と痛くなく感じるんですよ。
お客様からよく「自分の身体って、本来こんなに動くんですね!」と驚かれます。一人でやるストレッチとは伸びる深さが全然違うので、この感覚はぜひ一度味わってほしいです。
呼吸が深くなる感覚とリフレッシュ感
施術者とゆっくり呼吸を合わせながらストレッチを繰り返すことで、「呼吸が深くなった」「胸が開いた気がする」と感じる方も少なくありません。呼吸が整うと気分もすっきりして、施術後にはまるで良質な睡眠の後のようなリフレッシュ感に包まれます。
日ごろストレスを感じている方、気持ちをリセットしたい方が、心身のリフレッシュを目的にタイ古式マッサージを定期的に受けているケースも増えています。
研究でわかっていること・まだわかっていないこと
タイ古式マッサージに関する科学的研究も、近年少しずつ蓄積されています。ランダム化比較試験(RCT)の中には、施術後にストレス関連の生理指標(コルチゾール値など)や自律神経活動の指標(心拍変動など)に短期的な変化が見られたとする報告があります。また、筋・筋膜の痛みや慢性的な腰の張りを抱える方を対象にした研究では、痛みの強度や柔軟性の指標に一定の変化が確認された例もあります。
ただし、これらの研究にはいくつかの注意点があります。
- サンプルサイズが小さい——数十名規模の研究が多く、大規模な実証には至っていない
- 施術内容が研究ごとに異なる——「タイ古式マッサージ」のプロトコルが統一されていない
- ブラインドが難しい——施術の性質上、受け手が「何を受けているか」を隠せない
- 長期追跡が少ない——施術直後の変化は測定されていても、持続期間は未検証のケースが多い
つまり、「一部の研究では良い方向の変化が示唆されている」とは言えますが、「誰にでも確実に○○の効果がある」と断言できる段階にはまだありません。誠実にお伝えすることが、あなたの信頼につながると私たちは考えています。

リラゴ-ちゃん
「○○に効く!」と断言しているサイトを見かけたら、ちょっと注意してくださいね。
タイ本国でも「セラピー(治療)」と「ヘルスプロモーション(健康増進)」は明確に分けられています。
日本のサロンで受けるのは後者。リラクゼーションとして純粋に楽しむのが一番です!
宮廷式と民間式 — 流派の違いと自分に合った選び方
タイ古式マッサージにはいくつかの流派がありますが、最も根本的な分類は地域名ではなく、タイ政府が用いている「宮廷式(ヌアッド・ラーチャサムナック)」と「民間式(ヌアッド・チャルーイサック)」の2つです。日本のサロンを選ぶ際にも役立つ知識なので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
宮廷式(ラーチャサムナック)— 格式を重んじた指圧中心の施術
宮廷式は、王族や高位の人物に施術する際の礼法に基づいた流派です。タイ政府の解説では、身体の接触が限定的で、手や指先を中心にした指圧がメインとされています。大きな体位変換やアクロバティックなストレッチは少なく、落ち着いた雰囲気で深い圧を感じたい方に向いています。
民間式(チャルーイサック)— ダイナミックなストレッチが特徴
一方の民間式は、地域の治療師たちが村落で実践してきた流派で、身体のさまざまな部位を使ったダイナミックな技法が特徴です。ヨガに似たポーズを取りながら全身を大きく伸ばすストレッチが多く含まれ、施術者の流派や経験によってアプローチが異なるのもこのスタイルの面白さです。
「バンコク式」「チェンマイ式」との関係
日本のサロンや旅行ガイドでは「バンコク式(南部スタイル)」「チェンマイ式(北部スタイル)」という分け方をよく目にします。バンコク式はワットポーを総本山とし指圧重視、チェンマイ式はストレッチを多用するというのが一般的な説明です。
この地域名による分類は旅行先やスクール選びの目安としてはわかりやすいのですが、制度的な正式区分ではありません。より正確には、前述の「宮廷式 vs 民間式」がタイ政府の公式な枠組みです。

リラゴ-ちゃん
日本のサロンでは両方の要素をミックスしているお店がほとんど。
予約時に「指圧中心がいいか、ストレッチ中心がいいか」を伝えると、セラピストがあなたに合ったバランスに調整してくれますよ。迷ったら「おまかせで」もアリです!
「セラピー」と「ヘルスプロモーション」 — もうひとつの分類軸
ユネスコの登録文書では、現代のヌアッド・タイは大きく「セラピー(治療目的)」と「ヘルスプロモーション(健康増進目的)」の2つに分類されるとも説明されています。タイ国内の医療施設で行われる治療的な施術と、リラクゼーションサロンやスパで提供される健康増進・癒し目的の施術は、同じ「タイ古式マッサージ」でも位置づけが異なります。
日本国内のサロンで受けられるのは、基本的に後者の「ヘルスプロモーション(リラクゼーション・健康増進)」に該当する施術です。治療目的の施術とは区別して理解しておくと、過度な期待を持たず、純粋にリラクゼーション体験を楽しめるはずです。
施術の流れ — 初めてでも安心のステップガイド
「興味はあるけど、初めてだとちょっと不安……」という方のために、タイ古式マッサージの一般的な施術の流れをご紹介します。事前にイメージが湧いていると、安心して施術を受けられるはずです。
ステップ1:カウンセリングと着替え
まずはカウンセリングから。体の気になる部位や当日の体調、マッサージの強さの好み、触れてほしくない箇所などを施術者に伝えます。初めての場合は「初めてです」と正直に伝えるだけで大丈夫。施術者が強さやペースを調整してくれます。
その後、サロンで用意されたゆったりとした施術着に着替えます。コットン素材の長袖・長ズボンが一般的で、ストレッチの動きを妨げないデザインになっています。自分で施術着を持参する必要はありません。
ステップ2:足裏から全身へ — マットの上での施術
マットの上に仰向けに横たわり、施術がスタートします。まず足裏から指圧が始まり、ふくらはぎ、太ももと下半身を丁寧にほぐしていきます。下半身だけでも30〜40分ほどかけるのがタイ古式の特徴です。
その後、腰、背中、肩、腕、頭へと施術が進み、随所にストレッチが入ります。うつ伏せ、横向き、座位など体位を変えながら、全身をまんべんなくほぐしていく流れです。途中で眠ってしまっても問題ありません。多くの方が自然とうとうとするのは、むしろ身体がリラックスしている証拠です。

リラゴ-ちゃん
タイでは「ぐっすり眠ったお客様ほど施術がうまくいった証拠」って言われるんですよ。遠慮なく寝ちゃってください(笑)。
途中で「イタイ」「もう少しソフトに」って言うのも全然OK。むしろ言ってくれた方がセラピストは嬉しいです。
ステップ3:施術時間の目安 — 60分・90分・120分の違い
タイ古式マッサージの施術コースは60分、90分、120分が一般的です。それぞれの目安は以下の通りです。
60分コース:初めての方や時間に制約がある方におすすめ。下半身を中心に主要なセンを刺激し、基本的なストレッチを行います。「まずは試してみたい」という方に最適です。
90分コース:最もスタンダードで人気のコース。全身をバランスよくほぐし、ストレッチもしっかり受けられます。タイ古式マッサージの醍醐味を味わうなら、90分以上が断然おすすめです。
120分コース:タイ本国では2〜3時間の施術が標準とされています。120分コースでは全身をくまなく施術し、部分的なコリにも重点的にアプローチできるため、「じっくり身体と向き合いたい」という方に向いています。
安全に受けるために — 知っておきたい注意点
ユネスコが伝統を「保護する」とは、ただ称賛するだけではなく、正しい形で安全に継承することも意味しています。タイ古式マッサージをより安心して楽しむために、以下の注意点を確認しておきましょう。
施術を控えた方がよい場合(主な禁忌事項)
WHOの基準トレーニング文書やタイ国内の教育ガイドラインでは、以下のような場合にタイ古式マッサージの施術を控える、または医師に相談のうえ判断するよう記載されています。
全身的な注意:発熱時、重度または不安定な高血圧、直近の手術後、重度の骨粗しょう症、特定の感染症がある場合。妊娠中の方は、施術を受けられない場合や対応メニューが限られる場合があります。
局所的な注意:深部静脈血栓症の疑いがある部位、血管の問題がある部位、未治癒の傷や火傷の周辺は、施術を避ける必要があります。
「強ければ良い」は誤り — 施術者への伝達が大切
「もっと強く押してもらえば効きそう」と感じるかもしれませんが、過度な圧は皮下出血や筋肉の痛みを引き起こすことがあります。特に骨密度が低い方や血管が脆くなっている方では、強すぎる施術が思わぬトラブルにつながる可能性も指摘されています。
圧の強さは施術中いつでも調整できます。「もう少し弱めで」「ここはもう少し強めに」と遠慮なく伝えてください。そして持病・既往歴・妊娠の有無は、必ず事前に施術者に申告しましょう。不安な場合は、かかりつけ医に相談のうえで施術を受けるのが安心です。

リラゴ-ちゃん
タイ語で「バオバオ(軽く)」はタイ古式マッサージで最もよく使われる言葉のひとつ(笑)。
日本のサロンでも「弱めで」は全然恥ずかしくないですよ。気持ちよさの基準は人それぞれだから、自分の「ちょうどいい」を伝えてくださいね!
こんな人にタイ古式マッサージがおすすめ
タイ古式マッサージは幅広い方に楽しんでいただける施術ですが、とくに次のようなお悩みや好みをお持ちの方にはぴったりです。あなたに当てはまるものはありませんか?
デスクワークで首・肩が重い方
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用で、首や肩まわりが固まってしまう—現代人の多くが抱えるこの悩みに、タイ古式マッサージの「全身を連動させてほぐす」アプローチは相性がよいとされています。肩だけを揉むのではなく、足から全身の巡りを整えたうえで肩周辺にアプローチするため、施術後には「肩だけでなく全身が軽い」と感じる方が多くいます。
運動不足で身体が硬くなったと感じる方
日常的に運動する時間がなく、身体の柔軟性が落ちていると感じている方にもおすすめです。タイ古式マッサージのストレッチパートでは、一人では伸ばしにくい筋肉をセラピストが丁寧に伸ばしてくれます。「ストレッチをしたいけど、一人だと続かない」という方にとって、心強いパートナーになるでしょう。
強い揉みほぐしよりソフトなストレッチ系が好みの方
「マッサージは受けたいけど、強く揉まれるのは苦手」「揉み返しが心配」という方にも、タイ古式マッサージは向いています。ゆったりとしたリズムで体重をかけながらじわじわとほぐしていくスタイルのため、強い痛みを伴いにくく、揉み返しも起きにくいとされています。
日常のストレスからリフレッシュしたい方
仕事や人間関係のストレスが溜まっているとき、タイ古式マッサージの深いリラクゼーション体験は格好のリセット手段になります。施術中の「半眠半覚」の時間は、いわばデジタルデトックスの極致。スマートフォンを手放し、施術者の手の温もりに意識を委ねる時間は、忙しい日常を離れて自分自身と静かに向き合う貴重なひとときです。
「いつものマッサージ」にマンネリを感じている方
普段は整体やオイルマッサージを利用しているけれど、「最近ちょっとマンネリ…」と感じている方にこそ、タイ古式マッサージを試してみてほしいと思います。指圧とストレッチを融合させた独特のアプローチは、新鮮な体験をもたらしてくれるはずです。
タイ古式マッサージについてよくある質問
初めてタイ古式マッサージを検討する方からよく寄せられる疑問にお答えします。
Q. タイ古式マッサージは痛いですか?
「痛い」というイメージを持たれがちですが、基本的にはゆったりとしたリズムで行われるため、強い痛みを感じることは少ないです。圧の強さはカウンセリング時や施術中に調整できるので、遠慮なく伝えてみてください。
Q. どんな服装で行けばいいですか?
ほとんどのサロンで施術着が用意されているため、普段着のままお越しいただいて問題ありません。着替えやすい服装がベストですが、特別な準備は不要です。
Q. 施術前後に気をつけることはありますか?
施術の1〜2時間前までに食事を済ませておくのがおすすめです。満腹の状態で受けると、ストレッチの際に不快に感じることがあります。施術後はしっかり水分を摂り、できれば激しい運動は控えて身体を休めましょう。
Q. どのくらいの頻度で受けるのがいいですか?
特に決まりはありませんが、月に1〜2回のペースで定期的に受けている方が多いようです。体の状態やライフスタイルに合わせて、無理のない頻度で続けるのが理想的です。
Q. タイ古式マッサージで病気は治りますか?

リラゴ-ちゃん
タイ古式マッサージは医療行為ではなく、日本国内のサロンで受けられる施術はリラクゼーション・健康増進を目的としたものです。病気の治療や診断を行うものではないため、体調に不安がある場合はまず医師にご相談ください。そのうえで、日常の疲労回復やリフレッシュの手段として取り入れていただくのがおすすめです。

リラゴ-ちゃん
初めての方からの質問で一番多いのは「痛いですか?」、次が「どんな服装で行けばいいですか?」の2つ。
答えはどちらも「心配いりません!」です。サロンのスタッフが全部サポートしてくれるので、手ぶらで気軽に来てくださいね。
まとめ — 伝統の知恵を、今日のあなたに
タイ古式マッサージ(ヌアッド・タイ)は、仏教医学を源流とするタイの伝統医療であり、2019年にユネスコ無形文化遺産に登録された「世界が認めた施術法」です。
さらにその知識体系を記録したワットポーの石碑群は、2011年にユネスコ「世界の記憶」にも登録されており、「生きた実践」と「記録された知恵」の両面で人類の遺産として保護されています。
この記事でお伝えした内容を、改めて振り返ってみましょう。
- 「2,500年の歴史」は伝承としての起源。文献で確認できるのは17世紀以降
- ワットポーには「無形文化遺産」と「世界の記憶」、2つのユネスコ認定が共存
- 20世紀初頭に3段階で禁止され、約70年の空白を経てWHOの潮流で復活
- タイ政府の正式な流派分類は「宮廷式」と「民間式」
- 研究で一定の示唆はあるが、「確実な効果」と断言できる段階にはまだない
- 安全に受けるためには、持病の申告と「強ければ良い」の誤解を捨てることが大切
歴史や文化を知ったうえで施術を受けると、体験の質がまったく変わります。ぜひ一度、伝承として語り継がれ、石碑に記録され、現代の研究でも注目されている「世界一気持ちいいマッサージ」を、あなた自身の身体で確かめてみてください。

リラゴ-ちゃん
ここまで読んでくださってありがとうございます! これだけ知っていたら、もう立派なタイ古式マッサージ通です。あとは実際に体験するだけ。リラゴーで「あなたにぴったりの一軒」を探してみてくださいね。コップンカー!
全国のタイ古式マッサージが受けられるサロンは、リラクゼーションサロン・検索サイト「リラゴー」から探せます。エリアやメニューで絞り込んで、お近くの店を見つけてみてはいかがでしょうか。

